晴よ、さらば
私のことを呼んでくれた、最初の木
お寺の隅に立っていた、
抱えるほどの大木
晴(ぱれ)と私が呼んでいた、その木が
切り倒されていた
お寺は代替わり
長生きしていた前の住職さんと
今の住職さんでは
木への思いも違い
ご近所との関係も違う。
お隣に葉が落ちることを
若い世代は気にしていた。
先代が亡くなった時、
境内を埋める弔問客に、大きな木陰を作ってくれた、晴。
隣の神社の木が一度に大量に切られた時、呆然としていた、晴。
木にも記憶があり
感情があると
教えてくれた、晴が、
幾つもの小さな塊に切られて、
端に寄せられていた。
散歩から帰って、呆然としていた私に、サトさんが言った
「どこかに種が飛んでいて、それが根付いていると良いね」
本当だ❗️
木は記憶を繋いでいるんだもん
晴よ、ありがとう
晴よ、さらば
晴は、私の中に住み続ける木になる